お知らせやイベント、日々の出来事を綴った牧師によるブログ
2016.11.07
先週挙式の時に歌われる歌について記しましたが
今日はその中から有名な讃美歌「Amazing grace」について記したいと思います。
この歌 聖歌では「驚くばかりの恵み」です。
作詞者のジョン・ニュートンは1725年英国で誕生しました。
父は船乗りで母は敬虔なクリスチャンでした。
母は毎日曜日ジョンを教会に連れて行き
将来は神様に仕える人になって欲しいと祈っていたそうです。
しかしジョンが七歳の時に母は病に倒れ
まもなく息を引き取るという悲しい経験をしました。
父はまもなく再婚し寂しい少年時代をジョンは過ごさねばなりませんでした。
十七歳になりすっかり神様のことなど忘れてしまったジョンは英国海軍に入隊し
その後当時英国が植民地化していた国々の人々*主にアフリカの
奴隷売買に関係していた船舶会社で働き
後にその責任者になりました。
当時奴隷として捕らえられた人々の生活は大変過酷なものでした。
自由を奪われ数ヶ月の航海を強いられ
途中働けないとみなされた人は海に投げ込まれました。
「人」ではなく「物」として扱われたのです。
*このような苦しみから神に叫び歌ったのがアメリカのゴスペルの源流です。
ジョンはかなり酷いことをしたようです。
彼の伝記に聖書の言葉を引用してその当時の心の状態を表しています。
「その目は淫行に満ちており 罪に関しては飽くことを知らず
心の定まらない者たちを誘惑し その心は欲に目がありません。」(2ペテロ2:14)
ある夜 船が英国に向かう帰還する途中
暴風雨に巻き込まれ沈没しかけました。
いよいよ自分の死が近づき 人生もこれで終わりかという時
ジョンは自らの過去の思い出 母の微笑み 涙で祈る姿
そして自分が犯した数々の悪業を走馬灯のように思い起こし
船底で神に必死になって悔い改めの祈りを捧げました。
その時 奇跡が起こりました。ジョンは助け出されたのです。
1748年3月10日ジョンは回心し奴隷売買の仕事からも手を引き
後に牧師になる決心をし人生をやり直しました。
”こんな最悪な私の罪が赦されたのは
ただ神様の深い愛と哀れみ 恵みによるものだ”
こうして Amazing grace(驚くばかりの恵み)という歌が作られたのです。
*英文の詩はもっとストレートにジョン・ニュートンの心情を伝えています。